ネクタイのディンプルはダサい？必要性とNG場面を解説

ネクタイのディンプルについて「ダサいのでは？」「本当に必要なの？」と疑問を抱く人は少なくありません。

実際、ディンプルはただ作れば良いというものではなく、その仕上がりひとつでネクタイ全体の印象が大きく変わる、とても繊細で奥深いディテールです。

立体感が美しく決まれば胸元に上品さが宿り、スーツ姿全体の完成度を一段引き上げてくれます。

しかし、形が崩れていたり場面にそぐわなかったりすると、逆にだらしなく見えてしまうこともあります。

本記事では、プロの仕立て屋としての視点から、ディンプルの本当の意味、必要とされる理由、避けるべきシーン、そして初心者でも美しく作れる実践的なテクニックまでを丁寧に解説します。

さらに、素材別の相性や結び方の選び方、ディンプルを長時間キープするための方法など、日常の着こなしに直結する知識も深く掘り下げていきます。

「ディンプルはダサいのか？」という疑問の裏側には、実は“使いこなし次第で劇的に印象が変わる”という魅力があります。

ネクタイ姿をより洗練させるためのヒントを、ここからじっくりと紐解いていきましょう。

【この記事のポイント】

ポイント	内容
ディンプルの本質	ディンプルはなぜ“ダサい”と言われることがあるのかを理解できる
必要性と役割	胸元を整え、立体感を生むディンプルの正しい効果を学べる
NGシーンの判断	ビジネス・フォーマル・弔事でディンプルを使い分ける基準がわかる
美しく作る技術	プロが教えるディンプルの作り方と失敗しないコツが身につく

ディンプルはダサいのか？まず知るべき基礎知識

ディンプルとは何か？基本の役割と意味

ネクタイのディンプルとは、結び目のすぐ下に作られる“くぼみ”のことで、単なる装飾ではなく胸元の印象を大きく左右する重要な要素です。

この小さな溝は、平面になりがちな胸元に立体感と自然な陰影を生み出し、ネクタイ全体の表情を引き締める働きを持っています。

また、陰影が生まれることでネクタイの色味に深みが出て、素材の質感まで引き立てる効果もあります。

ビジネスでもフォーマルでも、清潔感・上品さ・知的さを演出し、身だしなみに気を配っている印象を相手に与えるための欠かせないディテールといえるでしょう。

ディンプルの役割一覧（表）

役割	意味・メリット
立体感を出す	平面的な胸元に奥行きを与える
陰影を生む	ネクタイの色に深みが出る
結び目を締める	ルーズに見えない印象を作る
プロ感の演出	身だしなみに気を遣う印象を与える
全体のバランス補正	スーツとネクタイの調和が取りやすい

「ダサい」と言われる原因は形と場面のミスマッチ

ディンプルが「ダサい」と感じられてしまうもっとも大きな理由は、形が崩れている場合、または場面にそぐわない場合であり、これらは見た目の印象に大きな悪影響を与えます。

左右のバランスが悪く不均一だったり、深さが浅すぎて中途半端に見えたり、そもそもネクタイの素材とディンプルの相性が良くない場合など、複数の要因が重なることで胸元全体が雑で安っぽく見えてしまうのです。

また、無理にディンプルを作ろうとして形が崩れてしまうと、“整えようとした形跡だけが残る”不自然な印象になり、身だしなみに気を配れていないようにも映ってしまいます。

さらに、場面にそぐわないシーン、たとえば厳粛さが求められる葬儀など、でディンプルを作ってしまうと、マナーを理解していない印象を与え、装いとして大きなミスマッチになります。

このように、形の乱れや素材選びの誤り、そしてTPOを外すことが「ダサい」という評価につながる大きな理由なのです。

ディンプルが“ダサく見える”典型的な要因

要因	見た目への影響
左右非対称	だらしない印象になる
浅すぎるくぼみ	中途半端に見える
素材との不一致	無理に作っているように見える
結び目とのバランス悪化	全体が不格好に見える
TPOの不一致	マナー違反の印象になる

美しく決まるディンプルと崩れて見えるディンプルの違い

ディンプルが美しく見えるかどうかは、主に左右の均一さ、深さ、結び目とのバランスで決まります。

特に左右が均等に整っているかどうかは第一印象に直結し、わずかな歪みでさえ胸元全体の完成度を大きく下げてしまいます。

深さについても、浅すぎると存在感がなく、逆に深すぎると不自然に見えるため、適度で自然な“陰影の落ち方”が重要になります。

また、結び目とのバランスが取れているとネクタイ全体に自然な陰影が入り、胸元が立体的に引き締まり、スーツ姿全体が上品で丁寧に整って見えます。

一方で、これらのバランスが欠けている崩れたディンプルはその逆の効果をもたらし、だらしなく、未完成な印象を相手に与えてしまいます。

整えようとした意図が見えてしまうほどの歪みや浅さは、むしろ清潔感を損ない、身だしなみへの配慮が欠けているように誤解される原因にもなります。

美しいディンプル vs 崩れたディンプル（比較表）

項目	美しいディンプル	崩れたディンプル
左右バランス	均一で整っている	非対称で乱れている
深さ	適度に深い	浅い／深すぎる
結び目との相性	自然に馴染む	浮いて見える
見た目の印象	上品・知的	雑・だらしない
全体の調和	スーツに馴染む	違和感が生まれる

海外と日本で異なるディンプルの評価

海外では「ディンプル＝紳士の嗜み」とされ、日常的に作られることが一般的です。

ネクタイを結ぶ際に自然とディンプルを整える文化が根付いているため、ビジネスシーンはもちろん、プライベートでもディンプルを作ることが身だしなみの一部として認識されています。

特に欧米では、ディンプルは“ネクタイを正しく扱えているか”を判断する目印にもなり、細部にこだわる大人の男性としての評価につながることも少なくありません。

一方、日本では昔から”過度な装飾を避ける文化”があり、控えめで落ち着いた装いを良しとする価値観が根強く存在します。

そのため、ディンプルは比較的新しい習慣として受け取られることが多く、必ずしも全員が身につけているものではありません。

ディンプルが“凝って見える”“派手に見える”と感じる人も一定数いるため、評価が分かれやすいのも特徴です。

こうした文化的背景の違いから、海外では“正しく作れて一人前”とされるのに対し、日本では場面に応じて“作る／作らない”を選ぶ柔軟な感覚が求められます。

ビジネスの場では好印象となる一方、冠婚葬祭などでは控えめにした方が良いなど、TPOに合わせた判断が重要になるのが日本ならではの特徴だといえるでしょう。

海外と日本の価値観の違い（比較図）

観点	海外	日本
ディンプルの位置づけ	紳士の基本マナー	TPOにより可否あり
評価	あった方が美しい	場合により「派手」印象
必要性	高い	場面次第
文化背景	装飾を楽しむ文化	控えめな装い文化
ビジネスでの扱い	ほぼ必須	無理に作る必要なし

まず理解すべき“ディンプル＝技術”という前提

ディンプルはただ作れば良いわけではなく、**「技術としてのディテール」**です。結び方、素材、指の使い方、締め具合など、複数の要素が噛み合って初めて美しく仕上がります。

そのため、慣れていない人が無理に作ると中途半端になり、かえって印象が悪くなることもあります。

さらに、形だけを真似して作ろうとすると、左右のバランスが崩れたり溝が浅すぎたりすることで、ディンプル本来の美しさが発揮されず、むしろ雑で不自然な印象を与えてしまうことがあります。

また、ディンプル作りに慣れていない人ほど結び目を強引に締めてしまう傾向があり、それによってネクタイの生地が傷んだり、結び目全体が潰れて見える原因にもつながります。

このような状態になると、相手に与える印象は大きく低下し、身だしなみに対する配慮が欠けているように誤解されることさえあります。

ディンプルは繊細な技術によって成立するため、慣れないうちは焦らず丁寧に工程を踏むことが重要なのです。

ディンプルを美しく作るための要素（箇条書き）

• 結び方の選択
• ネクタイ素材との相性
• 指での溝の押し込み方
• 結び目の締め具合
• 襟元とのバランス

ディンプルは“技術を理解した上で作るもの”であり、その知識を持った人ほど自然で美しい仕上がりになります。

ディンプルが必要とされる理由と魅力

立体感を生み出しネクタイの表情が豊かになる

ディンプルを作る最大の魅力は、ネクタイに立体感が生まれ、胸元に明確なメリハリがつくことです。

ネクタイは本来、身体の中央を縦に走るアクセントとしての役割を担っていますが、ディンプルがあることでその縦の流れに自然な陰影が加わり、表情が一段と豊かになります。

平面的になりやすい胸元に奥行きが加わることで、ネクタイの素材や色の濃淡、織り柄などの質感表現が立体的に引き立ちます。

特に光沢のあるシルク素材では、ディンプル部分に入る光の反射が陰影を際立たせ、まるで彫刻のような品のある立体感を演出します。

さらに、ディンプルがあるネクタイは動きに応じて光の当たり方が変化するため、表情が生き生きとし、歩いたときや振り返ったときにも胸元にリズムが生まれます。

これにより、装い全体がどこか躍動感を帯び、ネクタイが単なる一本の布ではなく「装いの中心的なアクセント」へと昇華されるのです。

立体感の変化（比較表）

状態	印象	特徴
ディンプルあり	立体的・表情豊か	光と影が生まれ質感が際立つ
ディンプルなし	平面的・単調	素材の魅力がやや埋もれる

胸元に陰影が生まれ上品で知的な印象を作る

ディンプルによって生まれる陰影は、胸元全体の印象を引き締め、知的で洗練された雰囲気を作り出します。

陰影は色の濃淡を強調し、ネクタイの色味に奥行きが出るため、単色のネクタイでも表情が深まり、軽やかな上品さを演出します。

特に濃い色のネクタイほど陰影の効果が大きく、深みのある印象へと変化します。

また、控えめな柄のネクタイでは、陰影によって生地の織り目や質感が浮かび上がり、落ち着いた高級感を感じさせます。

陰影が与える印象

要素	印象面への影響
陰影の強弱	表情の立体感・知的な雰囲気が増す
胸元の締まり	上品で清潔、誠実な印象につながる
コントラスト	スーツ全体の完成度が高く見える

フォーマル〜ビジネスでの好印象につながる理由

ディンプルはフォーマルシーンやビジネスの現場において、「細部への気配り」を象徴する重要なディテールです。

胸元を整える行為は、単に身だしなみを整えるだけでなく、相手に対し“自分をどう見せたいか”という姿勢を示すものでもあります。

しっかり整えられた胸元は、誠実さや清潔感、信頼感といったビジネスの基本となる印象を相手に届ける力があります。

特にプレゼンや商談、初対面のシーンでは、視覚情報が相手の判断に影響する割合が大きく、ディンプルによる細部の整えは大きな印象差につながります。

ビジネスで好印象となるポイント（表）

ポイント	理由
整った胸元	信頼・誠実さ・安心感につながる
立体感	プロらしく見え、説得力が増す
丁寧さ	細かな配慮ができる人という印象

結び目が締まりプロフェッショナル感が出る

ディンプルを作ることで結び目が安定し、ネクタイが中心に向けて自然にまとまりやすくなります。

中心線に整うことで胸元が乱れにくくなり、一日を通して美しい状態を保ちやすくなるのが大きなメリットです。

結び目が引き締まることで、ネクタイ全体がスッと縦に落ち、見た目の清潔感やプロフェッショナルな印象が強調されます。

また、ディンプルがクッションのような役割を果たし、結び目が過度に潰れることも防いでくれます。

結び目の安定度（比較表）

状態	結び目の安定	印象
ディンプルあり	非常に安定	清潔で整った印象が続く
ディンプルなし	やや不安定	時間とともに崩れやすい

スーツ全体のバランスを整える視覚的効果

スーツのVゾーンは視線が最も集まりやすい位置であり、着こなしの“印象の要”とも言えます。

ここに美しいディンプルが入ると、胸元に自然な縦ラインが生まれ、身体のシルエットが引き締まって見える効果があります。

また、ジャケットの襟の角度やシャツの襟型との調和が生まれ、スーツ全体がバランスよく見えるのも大きなポイントです。

ディンプルが中心にあることで視線が散らず、全体にまとまりが生まれるため、スタイルアップ効果も期待できます。

Vゾーンのバランス図解（簡易）

• ディンプルあり：視線が中央に集まり、縦のラインが強調されスタイル良く見える
• ディンプルなし：視線が散って胸元が平面的に見え、やや間延びした印象を与える

ディンプルは小さな工夫ですが、スーツの完成度を大きく左右する非常に重要なディテールなのです。

ディンプルを“ダサく見せてしまう”NGパターン

左右非対称の崩れたディンプル

ディンプルが最も“ダサく見える”典型例が、左右のバランスが崩れた状態です。

溝の深さが左右で違ったり、片方だけ潰れてしまっていると、胸元が雑に見え、全体の印象も大きく損なわれます。

丁寧に整えられた胸元は誠実で清潔な印象を与えますが、歪んだディンプルはその逆で「身だしなみに無頓着」という印象を与えかねません。

さらに、この左右非対称は相手の視線を不自然に引き寄せてしまうため、会話中に相手が胸元の乱れに気を取られる原因にもなります。

特にビジネスシーンでは細かな乱れが相手に与える印象へ直結するため、左右のズレは“だらしなさ”だけでなく“準備不足”や“注意力の欠如”と判断されてしまうこともあります。

また、左右が揃っていないディンプルはネクタイの縫製ラインや生地の落ち方にも影響を与え、ネクタイ本来の美しさを活かしきれない状態になります。

こうしたバランスの崩れは写真やオンライン会議などでも顕著に映り、細部の乱れがより強調されて見えるため、日常的な意識と丁寧な調整が欠かせないポイントと言えるでしょう。

左右バランスの違い（比較表）

状態	印象	問題点
均整の取れたディンプル	清潔・整っている	好印象で知的
左右非対称	雑・不自然	だらしない見た目に感じる

ネクタイの素材と相性が悪い場合

ネクタイにはさまざまな素材があり、素材によってディンプルの入りやすさが大きく変わります。

柔らかくしなやかなシルクは形が決まりやすく、少し指で押し込むだけでも自然で美しい溝が生まれやすいのが特徴です。

一方で、ウールやニットのように厚みや柔軟性の少ない素材はディンプルが入りにくく、無理に形を作ろうとすると溝が浅くなったり、すぐに崩れてしまったりすることがあります。

また、コットンのネクタイでは生地が硬めな場合、ディンプルを作る際の圧力がそのままシワとして残りやすく、かえって見た目が不自然になることもあります。

このように素材によって特性が異なるため、相性を無視して無理にディンプルを作ろうとすると、形が中途半端になり逆効果となってしまいます。

素材ごとの特徴を理解し、それに合わせた結び方や仕上げ方を選ぶことが、美しいディンプルづくりには欠かせないポイントなのです。

素材別ディンプルの相性（表）

素材	相性	特徴
シルク	◎	形が作りやすく陰影が美しい
コットン	○	比較的安定するがシワが出やすい
ウール	△	入りにくく崩れやすい
ニット	×	ほぼ不向き、形が出にくい

結び目が大きすぎる・小さすぎる問題

ディンプルは結び目とのバランスが重要で、大きすぎる結び目に浅いディンプルを作ると不格好に見え、小さすぎる結び目ではディンプルが悪目立ちしてしまいます。

さらに、大きな結び目は視覚的な重たさを生み、胸元の立体感を損なう原因にもなり、逆に小さな結び目はネクタイ全体の存在感を弱めてしまい、ディンプルだけが浮いて見えてバランスが崩れます。

また、結び目が適正でない場合は時間の経過とともに形が崩れやすく、朝と夕方で見た目がまったく違ってしまうこともあります。

結び方（プレーン・ウィンザーなど）やネクタイの幅との調和が取れていないと、胸元がアンバランスに見えてしまうのです。

結び方ごとに最適な結び目の大きさがあり、それを無視するとディンプルの魅力が半減するため、結び目のサイズと形状を理解したうえで調整することが非常に重要です。

結び目の大きさと印象（図表）

結び目	印象	ディンプルとの相性
大きすぎる	圧迫感・不自然	浅くなりやすく不格好
小さすぎる	頼りない・弱い印象	ディンプルが悪目立ち
適正サイズ	バランス良い	最も美しく仕上がる

スーツの襟幅とディンプルのバランスが悪い

スーツの襟幅とネクタイの大剣幅が合っていないと、ディンプルは美しく見えません。

襟幅が広いのにネクタイが細い場合や、逆に細い襟に太いネクタイの場合はアンバランスになり、ディンプルの位置がズレて見えたり、胸元に違和感が生まれます。

さらに、この不一致はスーツ全体のシルエットにも影響を与え、胸元の印象が散漫になったり、Vゾーンの縦ラインが崩れる原因にもなります。

本来、ディンプルは胸元に自然な立体感と重心を作り出す役割がありますが、襟幅とネクタイ幅のバランスが崩れると、その効果が十分に発揮されず、見た目の安定感が大きく損なわれてしまいます。

また、視覚的なバランスが悪いと、ネクタイそのものが浮いて見えたり、服全体の調和が崩れてしまい、せっかくの着こなしが台無しになることもあります。

こうした問題を避けるためには、スーツの襟幅に適したネクタイ幅を選び、それに合わせた自然なディンプルを作ることが重要なのです。

襟幅×ネクタイ幅×ディンプル（相性表）

襟幅	ネクタイ幅	相性	見え方
広い	太い	◎	力強くバランスが良い
広い	細い	×	ディンプルが浮いて見える
狭い	太い	△	圧迫感が出る
狭い	細い	◎	スッキリ調和しやすい

TPOに合わず“やりすぎ感”が出るケース

ディンプルは万能ではなく、場面によって“しない方が良い”ケースがあります。その代表例が葬式・お通夜です。

厳粛さが求められる場では、ネクタイはあくまで控えめに、装飾性を抑えて着用するのがマナーとされています。

そのため、立体感の出るディンプルは、装飾的な要素が強く、場の雰囲気を損なう恐れがあるため不適切と判断されます。

特に弔事の場では、参加者全体の装いが統一されていることが望ましく、過度な陰影や立体感は“余計な主張”と捉えられてしまう場合があります。

また、ディンプルによってわずかに生じる光の反射さえも、控えめさを重んじる場では好まれないことがあり、こうした理由からディンプルは避けるべきものとされています。

また、ビジネスでも「いかにも作りました」とわかるほど深く入れたり、過度な立体感を出すと“やりすぎ感”につながり、逆に悪目立ちするケースもあります。

深すぎるディンプルは、意図的に作り込んだ印象が強くなり、相手に過度な自己主張として受け取られてしまうことがあります。

特に信頼性や落ち着きが重視される業界では、あまりに主張の強いディンプルは“こだわりすぎ”“派手すぎる”というネガティブな印象につながることもあります。

さらに、立体感を追求しすぎると結び目とのバランスが崩れ、胸元が不自然に見えてしまうこともあるため、ディンプルの深さや形状はあくまで控えめかつ自然であることが重要なのです。

TPO別ディンプルの最適度（表）

シーン	ディンプル	理由
葬式・お通夜	×	装飾性が強く不適切
ビジネス	○	浅め・自然なものがベスト
結婚式	◎	華やかさを引き立てる
カジュアル	○	過度でなければ好印象

ディンプルは正しく作れば魅力的ですが、間違えると一気に“ダサ見え”につながる繊細なディテールです。

ディンプルを作るべき場面・避けるべきNG場面

ビジネスシーンでは基本的に必要とされる理由

ビジネスシーンでは、ディンプルは“きちんと感”や“誠実さ”を象徴するディテールとして高く評価されます。

胸元が丁寧に整えられていることは、相手に対し「この人は細部まで配慮できる人だ」という安心感や信頼感を与えるため、特に初対面の場では強いプラス効果があります。

また、ディンプルによってネクタイに立体感が生まれ、スーツ全体のシルエットが引き締まることで、プロフェッショナルな印象を持ってもらいやすくなります。

さらに、ディンプルは話し手の姿勢や所作をより端正に見せる効果もあり、胸元が整っているだけで“落ち着き”や“信頼性”といったビジネスに不可欠な要素が視覚的に補強されます。

加えて、会議室やオンライン会議など、相手との距離が近い環境ほど胸元の印象は大きく影響するため、ディンプルがあることで視覚的なまとまりが生まれ、相手の視線の流れが自然に整うメリットもあります。

こうした積み重ねにより、ディンプルは単なる装飾ではなく、ビジネスシーンで自分の印象を確実に底上げする“戦略的な身だしなみ”として重要視されているのです。

ビジネスでディンプルが好まれる理由（表）

要素	印象への効果
整った胸元	誠実さ・信頼感が高まる
立体感	プロらしさを演出
清潔感	丁寧な仕事を期待させる

結婚式・パーティーなど華やかな場の役割

結婚式やパーティーといったフォーマルかつ華やかな場では、ディンプルは“装いの格”を上げる重要なアクセントになります。

光沢のあるネクタイとディンプルの陰影が調和し、胸元に上品な存在感を与えるため、お祝いの席にふさわしい華やかさを演出することができます。

特に写真撮影の多い場では、立体感のあるディンプルが胸元を美しく見せてくれます。

さらに、こうしたハレの場ではゲスト全体が華やかな装いをするため、ディンプルが加わることでより“格の高さ”や“洗練された印象”が強調されます。

ディンプルの陰影が光を受けて変化することで、歩くたびに胸元に表情が生まれ、視覚的なリズムと立体感が増し、写真に映った際にも凛とした端正な印象を与えます。

また、結婚式のように主役の新郎・新婦と多くの人が並んで写真に入る場では、胸元の完成度が全体の印象に影響することも多く、ディンプルがあるだけで“きちんと準備してきた人”という好印象を与えることができます。

このように、フォーマルな場ではディンプルの存在が特に映え、装い全体の美しさを引き上げる重要な要素として機能するのです。

フォーマルシーンでのディンプル効果（図表）

シーン	ディンプルの役割
結婚式	華やかさ・上品さを増す
パーティー	写真映え・立体的な存在感
式典	礼装としての完成度を高める

プレゼン・面接で好印象につながる場面

プレゼンテーションや面接のように「自分を売り込む」シーンでは、胸元の整え方が印象に大きく影響します。

ディンプルがあると胸元が締まり、話す内容だけでなく“見た目の説得力”も向上します。

視線が胸元から顔へ自然に流れるため、相手の集中を妨げず、落ち着いた印象を与える効果もあります。

さらに、ディンプルが作り出す立体感は、相手の視線を自然と中心へ集める視覚的なガイドラインとなり、あなたの表情やジェスチャーの印象をよりクリアに伝える助けにもなります。

また、胸元が整っていると全体の姿勢が良く見え、自信や余裕を感じさせる効果も生まれます。

特に面接のような限られた時間で判断される場面では、この“視覚的信頼性”が相手の印象に強く影響し、相手が抱くあなたへの評価を底上げしてくれるのです。

プレゼン・面接でのメリット（表）

効果	内容
説得力向上	見た目のプロらしさが加わる
清潔感	ネクタイが崩れず好印象を維持
視線誘導	顔に集中してもらいやすい

葬式やお通夜でディンプルが不適切な理由

葬式やお通夜といった喪の場では、装いは「控えめ・簡素」が基本です。ディンプルは立体感や陰影を生む“装飾的”な要素であるため、喪服のマナーとしては避けるべきとされています。

胸元に陰影があることで“華やかさ”を演出してしまい、場にそぐわない印象を与える可能性があるためです。

さらに、光の当たり方によってはディンプル部分がわずかに輝いて見え、落ち着いた雰囲気の中で不要な存在感を放ってしまうこともあります。

弔事では参加者全体が“控えめであること”を重んじるため、ディンプルがあるだけで視覚的に浮いてしまい、配慮に欠ける印象を与えることがあります。

また、地域や宗派によっては装飾に対してより厳格な考えを持つ場合もあり、ディンプルのようなわずかな陰影でも“過度な装い”と受け取られるケースがあります。

そのため、喪の席ではネクタイはあくまで平坦に、簡素に整えることが望ましいとされています。

弔事でNGとされる理由（表）

理由	解説
控えめさが重視される	立体感が余計な主張になる
装飾性が不適切	ディンプルは華やかに見える
統一感が重要	周囲との不調和を避ける必要

宗教・地域によって変わる“場面のマナー”

ディンプルの可否は、日本の一般的なマナーだけで決まるものではなく、宗教や地域文化によっても変わることがあります。

海外では葬儀でディンプルをしていても問題視されない国もありますし、逆にビジネスでディンプルを作らないと“不十分な身だしなみ”と見なされる地域もあります。

さらに、地域の慣習や職業文化によっても価値観は大きく異なり、例えば欧米の金融系業界ではディンプルが“正しい装いの象徴”とされていますが、一部の地域ではシンプルな装いが格式とされ、あえてディンプルを作らないスタイルが好まれる場合もあります。

このような背景を理解しておくことで、より適切に場に合わせた判断ができるようになり、国際的なビジネスや多文化環境でも失礼のない装いが可能になります。

地域・文化別のディンプルマナー（比較表）

地域・文化	ディンプルの扱い
日本（一般）	弔事ではNG／ビジネスは自然なものが好まれる
欧米	ほぼ常にOK、マナーの一部
宗教儀式	宗派により差が大きい

ディンプルは場面によって「作るべき」「作らない方がよい」が明確に分かれるため、TPOを理解することが何より重要です。

プロが教える美しく上品なディンプルの作り方

素材別に最適なディンプルの作り方

ネクタイの素材はディンプルの仕上がりを大きく左右します。

シルクは柔らかく光沢があるため、軽い押し込みでも自然な陰影が生まれ、初心者でも比較的きれいな溝が作りやすい素材です。

また、生地自体がしなやかに動くため、指での微調整がそのまま形として反映されやすいという利点があります。

一方で、ウールやニットのような厚みのある素材は、ディンプルの形を作る際にしっかり指先で“溝をつまむ”意識を持たないと形が作りにくく、浅く平坦な仕上がりになりがちです。

さらに、素材の硬さによっては押し込みの力加減を丁寧に調整しないと生地が跳ね返ってしまい、均一な溝を作ることが難しくなります。

そのため、素材ごとの特性を理解し、適切な押し込み方や結び方を選ぶことで、美しく整ったディンプルが安定して作れるようになります。

素材に合った力加減と動作を理解することが、プロのような仕上がりを再現するための重要なポイントなのです。

素材別・作りやすさの比較表

素材	作りやすさ	特徴
シルク	◎	軽く押すだけで形が決まりやすい
ウール	△	少し強めの押し込みが必要
コットン	○	形は作りやすいがシワに注意
ニット	×	溝が崩れやすく不向き

結び方（プレーン／セミウィンザー）の選び方

結び方によってディンプルの深さや輪郭が大きく変わります。最も万能なのはプレーンノットで、自然な立体感のディンプルが作りやすいスタンダードな結び方です。

プレーンノットは結び目がコンパクトにまとまりやすいため、ネクタイ全体のバランスが取りやすく、初心者から上級者まで幅広く対応できる万能型といえます。

一方、セミウィンザーノットは結び目が大きくなるため、深めのディンプルを作りたいときに向いています。

結び目のボリュームが増すことで胸元に重厚感が生まれ、よりフォーマルで落ち着いた印象を与えられる点が特徴です。

また、ネクタイの素材・シーンに合わせて結び方を変えることで、より理想的な胸元を演出できます。

例えば光沢の強いシルクであればディンプルが際立ちやすく、プレーンノットで自然な陰影を楽しめますし、柄物や厚手素材ではセミウィンザーを選ぶことで形を安定させることができます。

このように結び方の特徴を理解することで、場面に応じた最適な印象づくりが可能になります。

結び方の特徴

結び方	結び目の大きさ	ディンプルの特徴
プレーンノット	小〜中	自然で使いやすい陰影
セミウィンザー	中〜大	深く力強い陰影を作りやすい

均一の溝を作るための指の使い方

美しいディンプルを作るには“押し込む位置”と“指の角度”が非常に重要です。

人差し指と親指でネクタイの結び目下をつまみ、中央に向けてやや下方向へと丁寧に押し込んでいきます。

このときに意識すべきなのは、溝の左右幅がしっかり均等になるよう指の角度を微調整しながら押し込むことです。

左右どちらかに偏ってしまうと、ディンプルが歪んで見えたり、胸元全体のバランスが崩れてしまったりします。

また、溝を押し込む際にネクタイの生地が潰れないよう、指全体ではなく“指先の腹”でそっと形を整えるように操作するのがポイントです。

指先の動きは繊細ですが、繰り返し練習することで力加減や角度が自然と身につき、より安定した美しい形が作れるようになります。

さらに、ディンプルを押し込んだ後には軽く結び目を締め直すことで形が固定され、プロの仕上がりに近づくため、最後のひと手間も欠かせない重要な工程です。

指の使い方のポイント（箇条書き）

• 親指と人差し指で“逆三角形”をイメージして押し込む
• 左右の幅を均一にする
• 押し込んだ状態で軽く結び目を締めて固定

1日中崩れないディンプルを保つコツ

ディンプルは作るだけでなく“保つ”ことも重要です。結び目が緩むと溝も浅くなって崩れてしまいます。

そのため、ネクタイを締める最終段階で結び目をしっかり固定し、シャツの第一ボタンと結び目の隙間をできるだけ作らないことが大切です。

隙間があると結び目が上下に動きやすくなり、ディンプルも徐々に消えてしまうため、胸元の密着度を高めることが安定の鍵となります。

また、ネクタイの裏側にあるループにしっかり通すことでズレを防げます。

さらに、結び目の裏側を軽く押し上げて結び目全体を中心に寄せると、ディンプルの形がより固定され、動きの多い一日でも崩れにくくなります。

こうした小さな工夫の積み重ねが、長時間美しく立体的なディンプルを保つための秘訣です。

崩れないための安定テクニック（表）

コツ	効果
結び目を最後に強めに締める	形が長持ちする
ループに通す	ネクタイのねじれ防止
襟に沿わせる	ディンプルの立体感をキープ

初心者が失敗しやすいポイントと対処法

初心者がやりがちな失敗は「溝が浅すぎる」「左右が非対称」「結び目が緩い」などです。

これらは指の押し込み方と結び方の選択を修正することで解決できます。

ただし、慣れないうちは押し込みの力加減が一定にならず、意図しない方向に溝が偏ったり、せっかく作った形がすぐに崩れてしまうことも多く見られます。

こうした問題を防ぐためには、まずはプレーンノットで練習し、素材の扱いやすいシルクのネクタイから始めると上達が早くなります。

シルクは指の動きが素直に伝わるため練習に最適で、繰り返し行うことで力の入れ方や指の角度が安定し、より自然で美しいディンプルが作れるようになります。

さらに、鏡を使って正面からバランスを確認しながら練習することで、左右の偏りにも気づきやすくなり、より早い上達が期待できます。

初心者の失敗と改善方法（表）

失敗例	原因	改善策
溝が浅い	押し込み不足	指の圧を強めて中央へ寄せる
左右がズレる	指位置のズレ	つまむ位置を揃える
結び目が緩い	最終締め不足	結び目をしっかり締める

まとめ│ネクタイのディンプルはダサい？

ディンプルは“形が崩れている”“場面に合っていない”といった条件が重なったときにのみ“ダサく見える”可能性があります。

しかし、これは裏を返せば、正しく理解し適切な手順で作られたディンプルは、胸元の印象を格段に引き上げる極めて優秀なディテールだということでもあります。

美しく整ったディンプルは、立体感を生み出すことでネクタイ本来の魅力を引き立て、上品さや誠実さを視覚的に補強し、ビジネスシーンでもフォーマルシーンでも堂々と活躍する“強力な武器”になります。

また、細部まで気を配る姿勢が伝わるため、相手に与える信頼感や安心感を高める効果もあります。

大切なのは、素材や結び方、さらにはTPOに応じて“作るべき場面”と“避けるべき場面”をしっかり判断し、そのうえで丁寧な技術によって美しい溝を形成することです。

ディンプルは単なる装飾ではなく、胸元を整えるための高度なテクニックのひとつであり、正しく扱えばダサいどころか“胸元の格を確実に引き上げる最強の仕上げ”として機能します。

丁寧な作り込みと適切な場面選びこそが、ディンプルを最大限に生かす鍵なのです。